子どもの頃、1年が今よりもずっと長く感じませんでしたか? 夏休みが永遠に続くように感じたり、遠足の日を指折り数えて待ちわびたり…大人になると、1年があっという間に過ぎ去ってしまうように感じるのに、子どもの頃はなぜあんなにも時間がゆっくりと流れていたのでしょうか。
もちろん、物理的には、子どもにとっても大人にとっても、1年の長さは同じです。しかし、心理的には、子どもの1年と大人の1年は、全く違う重みを持っていると言えるのではないでしょうか。その秘密は、「体験と学びの量」にあると言われています。子ども時代は、毎日が新しい発見と学びの連続です。初めて自転車に乗れた日、運動会で一生懸命走ったこと、友達と秘密基地を作ったこと…初めて体験すること、初めて学ぶことがたくさんで溢れています。
脳科学研究によると、初めての体験は、脳に深く刻まれ、記憶の密度を高めるそうです。つまり、子ども時代は、毎日が高密度な記憶で満たされているため、心理的に時間が長く感じられるのです。一方、大人になると、日々の生活は決まりきった仕事になりがちです。毎日同じようなことの繰り返しで、新しい体験の機会も減ってきます。記憶の密度が薄まるため、時間が早く過ぎるように感じてしまうのではないでしょうか。
裏を返せば、子どもたちの1年は、私たち大人の何倍もの密度を持っていると言えるでしょう。それだけたくさんのことを体験し、たくさんのことを学んでいるのです。私たち教職員は、子どもたちの貴重な時間を預かり、成長をサポートする役割を担っています。子どもたちにとって、学校での1日は、新しい発見と学び、成長のチャンスに満ち溢れています。授業で新しい知識を見つけたり、友達との関わりの中で社会性を身につけたり、成功体験や失敗から学ぶ経験を重ねたり…
毎日の教育活動は、子どもたちの貴重な時間を豊かに彩り、人生の土台を築くかけがえのないものです。子どもたちの笑顔のため、教育への情熱を燃やし、最後の最後まで、温かい眼差しで子どもたちを見守っていきたいと思います。子どもたちの1年は、私たち大人の1年とは全く違う、宝物のような時間です。
来週の月曜日は、修了式。最後の瞬間まで、愛情と情熱をもって、子どもたちに向き合っていきたいと思います。