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学校日記

「他者の靴を履く」 ~相手の立場に立って想像する・理解する~ 

公開日
2025/05/29
更新日
2025/05/29

校長日記

 学校はすべての子どもたちが安心して、笑顔で学校生活を送れる環境を作るのが最も大切な使命の一つです。しかし、人間関係のトラブルは必ずどこかで起こることであり、残念ながらいじめや不登校の問題は、喫緊の課題であり続けています。

 「他者の靴を履く」という言葉がイギリスのことわざであります。これは、文字通り他人の靴を履いてみることではなく、「相手の立場や状況、感情をあたかも自分自身のことのように深く理解しようと努める」という比喩表現です。一見シンプルな言葉ですが、その背景には、人間理解の核心に迫る、非常に重く、そして深い意味が込められているように思います。

 児童理解はすべての教育活動のベースですが、子どもたちを理解する際、表面的な理由を問う前に、その子が今、どんな靴を履いて、どんな道を歩いているのか、私たちは想像力を最大限に働かせる必要があります。その子の靴は、もしかしたらサイズが合わずに足を痛めているかもしれません。ガラスの破片が散らばる道をとぼとぼと歩いているかもしれません。

 「他者の靴を履く」ということは、決して簡単なことではありませんが、時には自分の価値観という靴を脱いで、「理解しようと努めること」「相手の立場に立って想像してみること」、その真摯な姿勢こそが、子どもたちとの信頼関係を築き、問題解決の一歩になるのではないでしょうか。

 教員は、子どもたちにとって最も身近な大人であり、小さな変化やサインに気づくことができる存在です。だからこそ、日々の関わりの中で、その子の「靴」を履いてみるくらいの気持ちで寄り添い、共に解決の道を探っていく、そのような姿勢をもてる存在でありたいと思います。